50代未経験からWebの仕事は始められる?7人の体験から結果の分かれ目と準備を整理

自宅の書斎で老眼鏡を手に、ノートパソコンを見ながら考える大人の後ろ姿 キャリア・転職

「50代から未経験でWebの仕事を始めるのは、現実的なのだろうか」。体力や老後への不安、家族の事情から、在宅でできる仕事やスキルを考える人もいるでしょう。そこで、50代でWebデザイン、Web制作、Webライターなどを学び、仕事を探した7人の体験記事やインタビューを確認しました。

先に結論をいうと、7人の結果は大きく分かれました。社内のデザイナーに職務転換した人、フリーランスとして案件を受けるようになった人がいる一方、職業訓練を受けて30社に書類を出しても、記事の時点でWebの仕事には採用されていない人もいます。仕事を得た人の多くは、知人やコミュニティ、勤務先といった「つながり」から最初の仕事を得ていました。ただし、7人のうち3人はスクールの運営元が公開した卒業生インタビューで、うまくいった人が選ばれやすい点に注意が必要です。

この記事で分かること

  • 50代でWebスキルを学んだ7人の、学び方と仕事の探し方
  • 採用されなかった人の記録と、その理由として本人が挙げたこと
  • 最初の仕事を得た経路(知人・コミュニティ・勤務先・クラウドソーシング)
  • 50代で始める前に確認したいこと

50代でWebスキルを学んだ7人の概要

今回確認したのは、50代で学び始めた、または50代で仕事を探したことを本人が書いている7人です。目指した働き方も、最初の仕事を得た経路もそれぞれ違います。

事例 状況(本人の記載) 学び方・探し方 記事時点の結果
事例1 50歳で事故により退職。体調に合わせて在宅で働きたい 職業訓練と独学、約1年でポートフォリオを公開 知人から初めての制作依頼。のちにWeb制作の会社を設立
事例2 50代後半。体力に頼る働き方と老後が不安 オンラインスクールで約1年。クラウドソーシングで約半年は返信が少ない Webライターとして継続案件を受ける(本業と並行)
事例3 50歳で無職に。Web制作は未経験 職業訓練(2025年4〜10月)。雇用形態を問わず応募 書類不通過30社。2026年1月時点でWeb職の採用はなし
事例4 50代でWebデザインを学ぶ スクール修了後に停滞。作品を公開し、Xで発信 知人の紹介でLPの案件を受注し、継続依頼も
事例5 20年以上の専業主婦。49歳から学習 スクールの課題・添削・コンペを利用 約5か月後、コミュニティ内の募集で初案件。フリーランスに
事例6 50歳過ぎ。勤務先の広報でデザインを依頼する側 スクールで学び、自作の作品を経営層に提示 卒業約2か月後、社内デザイナーに職務転換
事例7 パティシエ、専業主婦、経理事務を経て50代 スクールで学び、受講5か月目にクラウドソーシングで応募 画像制作の案件を1件受注

7人とも本人の記事、または本人の回答部分を確認しました。収入や案件は本人の申告で、独立した確認はしていません。事例5・6・7はスクールの運営元が公開した卒業生インタビューで、受講案内を含みます。事例1・4の記事にも広告やスクール紹介のリンクがあり、事例2の記事にも本人のお店などへの案内があります。事例3は、記事の時点で就職活動が続いている記録です。

事例1:事故で退職後、職業訓練と独学で在宅のWeb制作へ

筆者は会社員だった50歳のとき、交通事故で脊髄を損傷し、長い入院をきっかけに退職したと書いています。退院後、職業訓練でプログラミングを学び、HTML・CSS、JavaScript、WordPressなどを独学で補って、約1年でポートフォリオを公開しました。[1]

本人によると、そのサイトを見た知人から初めてWeb制作の依頼を受け、その後はWeb制作を事業とする会社を設立し、体調に合わせて在宅で活動しています。初案件の金額や時期、その後の件数や収入は書かれていません。[1]

この例では、ポートフォリオを公開したことが、知人からの依頼につながったと本人が書いています。知人経由の受注なので、一般の採用や営業で同じ結果になるとは限りません。

事例2:50代後半、約1年学んで約半年は返信が少なかった

筆者は50代後半で、体力に頼る働き方と老後に不安を感じ、オンラインスクールで約1年、文章の構成やSEOを学びました。その後クラウドソーシングに登録しましたが、最初の約半年は提案への返信が少なく、最初の案件の報酬は本人の申告で280円だったといいます。[2]

提案文を、相手の課題と自分にできることが分かる形に直し、YouTubeのシナリオ作成と画像選びの継続案件では、納期、修正対応、報告・連絡・相談を徹底しました。本人によると、本業と並行して週約20時間取り組み、継続の依頼と安定した収入につながったと書いています。[2]

学習のあとにも、半年ほど結果が出ない時期があったことが分かる例です。収入額や応募件数は書かれておらず、「安定」も本人の評価です。低単価の案件を勧める根拠にはなりません。

自宅の机で本とノートパソコンを開き、ノートに書き込みながら学ぶ年配の大人の手元
本とパソコンを使って学習を進めるイメージ(AI生成画像)

事例3:職業訓練のあと30社で書類不通過。Web職の採用はまだ

筆者は2025年2月、50歳で無職になりました。それまではITサポートのコールセンター、飲食店、バーテンダーなどを経験していて、Web制作は未経験でした。4月から10月まで職業訓練でHTML・CSS、Photoshop、Illustrator、WordPressなどを学び、訓練中から制作会社や事業会社に、雇用形態を限定せず応募しています。[3]

クラウドソーシングで単発の案件をいくつか受けたものの、書類で落ちた会社は30社に達し、面接に進んでも採用には至らず、2026年1月の時点でWebの仕事への採用は0でした。生活資金を優先し、2月からはコールセンターの仕事に戻りながら、就職活動と実績づくりを続けると書いています。[3]

この記録には、生活資金の制約、年齢、実務経験の不足が具体的に書かれています。また、求人のように見えてスクールの勧誘だった募集があったことにも触れています。成功談ではありませんが、50代で始める前に知っておきたい現実の一つです。

事例4:スクール修了後に停滞し、発信と紹介で案件へ

筆者は50代で、未経験からWebデザインを学びました。スクールを修了したあと、案件の取り方が分からず止まってしまったといいます。そこで、知人向けの無償や低単価の制作と課題の作品をまとめてポートフォリオを公開し、ココナラではアイキャッチ画像からLPのデザインへ広げ、Xで制作物を発信し続けました。[4]

本人によると、コミュニティの知人から紹介されたディレクターに未経験であることを伝え、Xの制作物を見てもらったところ、LP型のサイトの案件を受注し、その後も継続して依頼を受けています。ポートフォリオ経由で30万円規模の問い合わせがあったとも書いていますが、受注したかどうかは書かれていません。[4]

修了後に止まった時期を、作品の公開と発信で抜け出した例です。記事にはスクールの紹介や広告のリンクが含まれます。

自宅の作業机で、文字のないWebサイトのワイヤーフレーム風の紙を見比べる年配の大人の手元
Webサイトの構成案を見比べながら制作を進めるイメージ(AI生成画像)

事例5:49歳から学び、約5か月でコミュニティ内の案件へ

まつかさんは、出産後20年以上専業主婦で、49歳から未経験でWebデザインを学び始めました。長いブランクと50歳という年齢から、再就職は難しいと自分で判断し、在宅のフリーランスを選んでいます。[5]

毎週の制作課題、添削、ウェビナー、コンペを使って学び、受講開始から約5か月後に、コミュニティ内の募集に応募して初案件を受注しました。その後、コミュニティで知り合った人や家族・友人から、Webサイトの制作やInstagramの運用代行を受け、50代のフリーランスWebデザイナーとして活動していると話しています。[5]

この例の初案件は、受講したスクールのコミュニティ内の募集からで、一般の市場で得たものとは経路が違います。スクールの運営元による卒業生インタビューで、案件の金額や収入は書かれていません。

事例6:勤務先で、デザインを依頼する側から社内デザイナーへ

岩男暁子さんは50歳を過ぎてから、パソコンを持っていない状態でWebデザインを学び始めました。勤務先では広報として、外部のデザイナーに依頼する側だったといいます。社内のデザイナーが退職するときに、自分で作った作品を経営層に見せ、スクールを卒業して約2か月後に社内デザイナーへ職務転換しました。[6]

本人によると、バナー、カタログ、チラシなどを担当し、家族の介護が必要になったときも、在宅勤務と週5日から週3日への調整で、退職せずに働き続けられたと話しています。[6]

社内の欠員と、広報の経験が重なった個別の例です。スクールの運営元による卒業生インタビューで、給与や収入の金額は本人の回答としては書かれていません。

事例7:受講5か月目に、クラウドソーシングで1件受注

芳谷真樹さんは、パティシエ、約12年の専業主婦を経て、簿記を取って経理事務を2年経験したあと、在宅で働ける環境を求めて50代でWebデザインを学びました。Photoshopは入学して初めて触り、模写コーディングでは手を動かせるようになるまで約2週間苦労したといいます。[7]

受講5か月目にクラウドワークスで応募し、不動産査定サイトのメインビジュアルとコンテンツ画像2点の制作を1件受注しました。先輩の受講生の投稿を参考にしながら、依頼者とのやり取りを進めたと話しています。受注額や応募件数、その後の継続は書かれていません。[7]

記事の時点では新しいキャリアを築いている途中の例です。スクールの運営元による卒業生インタビューで、無料相談や割引などの案内が含まれます。

自宅の机で、相手をぼかしたノートパソコンの画面に向かってオンライン面談をする大人の後ろ姿
オンラインで仕事や働き方について相談するイメージ(AI生成画像)

7人の体験から編集部が整理した、50代で目立った点

7人の記事を並べると、次の4つが繰り返し出てきます。これは編集部が整理したもので、7人全員がすべてに触れているわけではありません。また、うまくいった人が多く含まれる7人の記事から、何が仕事を得る決め手になったかを断定することはできません。

  • 最初の仕事は「つながり」から得た人が多い:知人(事例1・4)、受講したスクールのコミュニティ(事例5)、勤務先(事例6)から最初の仕事を得ています。クラウドソーシングで受注した人(事例2・7)もいます。[1][2][4][5][6][7]
  • 学び終えてからも時間がかかる:約半年返信が少なかった人(事例2)、修了後に停滞した人(事例4)、30社で書類が通らなかった人(事例3)がいます。[2][3][4]
  • 作品を見せている:ポートフォリオの公開(事例1・4)、経営層への作品の提示(事例6)が書かれています。[1][4][6]
  • 在宅や体調・介護との両立を重視している:体調(事例1)、介護(事例6)、在宅で働ける環境(事例5・7)を理由に挙げた人がいます。[1][5][6][7]

一方で、50代で学んでも仕事が得られなかった人、学習をやめた人がどれくらいいるかは、この7人の記事からは分かりません。30代・40代の体験は30代未経験からWeb系の仕事に就ける?と40代未経験からWeb系の仕事に就ける?でまとめています。

50代で始める前の5つの確認

ここからは、7人の体験を参考に編集部が整理した確認項目です。7人がこの5つを勧めているわけではありません。

50代でWebの仕事を始める前の5つの確認:生活資金と期間、目指す働き方、つながりの棚卸し、見せられる作品、求人の見極め
5つの確認のまとめ(編集部作成)
  1. 生活資金と期間:学び終えてから仕事になるまで、半年以上かかる場合もあります。その間の生活資金をどうするかを先に決めます。
  2. 目指す働き方:会社に採用されたいのか、在宅でフリーランスとして受けたいのか、今の勤務先で役割を変えたいのか。経路によって準備が変わります。
  3. つながりの棚卸し:これまでの仕事や知人、地域のつながりの中に、最初の仕事につながる相手がいないかを考えます。
  4. 見せられる作品:ポートフォリオを公開し、制作物を発信できる状態にしておきます。
  5. 求人の見極め:求人に見えて、実はスクールの勧誘だった例もあります。応募先が何を募集しているのかを確かめます。

作品集の中身は未経験Webデザイナーのポートフォリオは何を載せる?、スクールを選ぶときの注意点はWebスクールで後悔した人の体験は?も参考になります。

よくある質問

50代から未経験でWebの仕事は始められますか?

今回の7人の中には、社内デザイナーへの職務転換やフリーランスとしての受注を報告した人がいる一方、30社で書類が通らず、記事の時点でWebの仕事に採用されていない人もいます。始められるかどうかは、目指す働き方と準備によって変わります。

50代だと会社への就職は難しいですか?

今回、50代でWeb職への就職活動を記録した事例3では、記事の時点で採用はありませんでした。一方、勤務先で職務転換した人や、フリーランスを選んだ人もいます。7人の記事だけでは、就職の難しさを一般化できません。

最初の仕事はどうやって得ていますか?

今回は、知人、スクールのコミュニティ、勤務先といったつながりから最初の仕事を得た人が多くいました。クラウドソーシングで受注した人もいます。どの経路が自分に使えるかを考えておくと、準備しやすくなります。

職業訓練やスクールは必要ですか?

今回は、職業訓練を利用した人も、スクールを利用した人もいます。ただし、事例3のように職業訓練を受けても採用につながっていない人もいて、学ぶ場所だけで結果は決まりません。

参照した本人記事

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