公務員からWeb・ITへ移った6人の体験|働き始めた4人と入社予定の2人の辞めた理由・学び方・収入

書類の束とノートを置いた机でノートPCを打つ手元 キャリア・転職

公務員からWeb・ITの仕事へ移った6人の記事を確認すると、辞めた理由として書かれていたのは、専門性を伸ばしにくいこと、取った資格が評価されないこと、一人で障害対応を担う負担、人間関係が仕事の配分や評価に影響すること、行政の非効率や裁量の小ささ、異動で忙しくなり学習との両立が難しくなったことなどでした。移った先は、通信インフラ、SES、Web系の開発、機械学習のエンジニア、派遣のWebデザイナー兼コーダー、フリーのWebマーケターと分かれます。年収が公務員のころより大きく下がったと書いた人、月収が公務員のころに少し届かないと答えた人もいました。

この記事では、6人の辞めた理由、学び方、仕事探し、移ったあとの働き方を整理します。6人のうち2人は、記事を書いた時点では入社前でした。2人はスクールの運営会社のインタビューで、うまくいった人の例が選ばれやすい面があります。経歴、応募の数、収入は本人の申告で、確認はしていません。

この記事で分かること

  • 公務員からWeb・ITの仕事に移った6人の、辞めた理由
  • 独学、スクール、資格など、学び方の違い
  • 応募の数と、移ったあとの仕事・収入の変化
  • 公務員からWeb・ITに移る前に確かめたい5つのこと

結論:6人の体験の比較

6人の記事を一覧にしました。本人の投稿か、本人の回答が分かれたインタビューです。

事例 公務員での仕事と、辞めた理由 学び方と仕事探し 移ったあと(本人の記載)
事例1 国土交通省に3年弱、自治体に6年。システムの運用保守など。専門性を伸ばしにくい、資格が評価されない、一人で障害対応 公務での関連の経験と資格があった 通信会社の通信インフラエンジニアとして入社予定
事例2 高卒で7年、農業や戸籍の部署。人間関係が仕事の配分や評価に影響 公務員向けのエージェントの紹介でスクールに半年強。10社に応募し、8社が書類通過 2か月の研修のあと、SESで客先に配属
事例3 32歳。県の技術系の職員を6年。行政の非効率や裁量の小ささ 約3か月独学で止まり、仕事と両立してスクール。平日2〜3時間、土日祝約7時間 Web系エンジニアとして2社から内定。スタートアップに入社予定
事例4 ITと関係のない国家公務員を4年半 スクールは使わず資格を取得。60〜80社程度に応募 機械学習エンジニア。年収は公務員のころより大きく下がった
事例5 国家公務員を新卒から約16年。異動で忙しくなり、スクールとの両立が難しくなった スクール在学中に退職。卒業後、約5か月かけてポートフォリオ 正社員の内定を辞退し、派遣でWebサイトの更新やバナーなど
事例6 元公務員(職種や年数の記載なし) Webデザイン、制作、マーケティングの講座を受講。地域の交流会で仕事を得た フリーのWebマーケター兼ディレクター。月収は公務員のころに少し届かない程度

6人とも本人の投稿か、本人の回答が分かれた記事で、本文を確認しました。経歴、学習の時間、応募の数、収入は本人の申告で、確認はしていません。事例5・6はスクールの運営会社のインタビューで、説明会や講座への案内があり、うまくいった人の例が選ばれやすい面があります。事例1・3は入社前に書かれた記事で、入社後の働き方は分かりません。事例1は公務で情報通信の仕事をしていて、まったくの未経験ではありません。6人は公開記事から選んだ例です。

事例1:システムの運用保守を約9年。資格が評価されず、民間の通信インフラへ

筆者は、国土交通省に3年弱、広域の地方公共団体に6年勤め、水道や発電所、防災情報のシステム、航空管制のシステムなどの運用保守に携わったと書いています。[1]

情報通信の分野で専門性を伸ばしにくいこと、取ったIPAの資格が組織のなかで評価の対象にならなかったこと、24時間365日の障害対応を一人で担うことになり、家族にも負担をかけたことを、転職の理由に挙げています。応募した会社から採用され、2025年1月から民間の通信会社で通信インフラのエンジニアとして働く予定だと書いています。[1]

公務で積んだシステムの経験を、民間で生かそうとした例です。未経験からの転職ではありません。入社前に書かれた記事で、入社後の働き方や給与は分かりません。2025年1月の投稿です。

事例2:人間関係に消耗して7年で退職。スクールに半年強通い、SESへ

筆者は高校を卒業して公務員になり、7年間、農業や戸籍の部署で働いたと書いています。人間関係が仕事の配分や評価に強く影響する状況に消耗したそうです。[2]

公務員向けの転職エージェントの紹介で、オンラインのITスクールに半年強通い、プログラミングの基礎、Webアプリ、ポートフォリオ作りに取り組んだといいます。プログラミングそのものは特に楽しいとは思わなかったとも書いています。10社に応募して8社が書類を通過し、5社の最終面接を経て希望の会社から内定を得て、2か月の研修のあと、SESとして客先に配属されたそうです。[2]

成果物で評価される働き方に移った例です。本人は転職後、成果物で評価される感覚を前向きに書く一方、研修は難しく、初めての現場には不安もあると書いています。SESの1つの例で、ほかの働き方にそのまま当てはまるわけではありません。2026年1月の投稿です。

事例3:独学は約3か月で止まり、働きながらスクールへ。2社から内定

筆者は32歳で、化学メーカーで約2年働いたあと、県の技術系の化学職として6年勤めたと書いています。行政の非効率さや、裁量の小ささに違和感を持ったそうです。[3]

Progateや書籍で約3か月独学しましたが、オリジナルのアプリを作る段階で止まったといいます。その後、仕事と両立してRUNTEQを受講し、平日は2〜3時間、土日祝は約7時間学び、支援を受けながらアプリを完成させたそうです。自社開発と受託開発の2社から内定を得て、2023年5月から都内のスタートアップでWeb系エンジニアとして働く予定だと書いています。[3]

ノートPCに色付きの行が並ぶ画面を表示して作業する手元
ノートPCで作業する手元のイメージ(AI生成画像)

独学で止まったあと、学び方を変えた例です。入社前に書かれた記事で、入社後の働き方や給与は分かりません。2023年5月の投稿です。

事例4:資格を取り、60〜80社程度に応募。年収は大きく下がった

筆者は、ITと関係のない国家公務員を4年半経験し、2025年夏に退職して、同じ年の9月に機械学習エンジニアになったと書いています。ITパスポートと基本情報技術者を1〜2か月ほどで取り、スクールは使わずに転職活動を始めたそうです。[4]

未経験でも応募できる求人の年収の低さや、職種の選び方に迷い、複数のエージェントを通して計60〜80社ほどに応募したといいます。最初の1社からは300万円台前半の派遣型の仕事を示されましたが、活動を続け、興味のある分野の会社から400万円台後半を示されて入社したそうです。公務員のころより年収は大きく下がったとも書いています。[4]

年収が下がることを受け入れて、興味のある分野を選んだ例です。採用には、大学院で学んだ経験やデータサイエンスの講座、選考の試験など、本人ならではの条件もあり、資格だけで決まったとは言えません。金額は本人の申告です。2026年3月の投稿です。

事例5:国家公務員を約16年。正社員の内定を辞退し、派遣でWebの仕事に

Harukaさんは、新卒から約16年、国家公務員の一般職として働いたと答えています。独学でHTMLを試したあと、2024年7月にWebデザインのスクールに入りました。入学したときの人事異動で仕事が忙しくなり、仕事と学習の両立が難しくなったため、Webデザインのスキルを上げることに集中しようと、同じ年の10月末に退職したそうです。[5]

2025年4月に卒業したあと、作品8点と、それぞれの説明の根拠を載せたポートフォリオを約5か月かけて作り、2026年2月から仕事を探したといいます。正社員の内定を得ましたが、仕事の内容が合わないと考えて辞退し、6月から派遣で、企業サイトの更新や運用、バナー、HTML・CSS・JavaScriptの修正、CMSの更新を担当していると答えています。[5]

時間をかけてポートフォリオを作り、仕事の内容で働き先を選んだ例です。退職から働き始めるまで1年半以上あり、その間の生活費は書かれていません。応募の数、年齢、給与も書かれていません。スクールの運営会社のインタビューです。2026年10月の投稿です。

オフィスの机でノートPCを囲んで話す数人の手元
ノートPCを囲んで話す様子のイメージ(AI生成画像)

事例6:地域の交流会で仕事を得て、フリーのWebマーケターに

こんさんは元公務員で、ものづくりへの関心と収入の面を考えて、Webデザイン、Web制作、Webマーケティングの講座を受けたと答えています。[6]

地域の経営者の交流会や商工会議所で仕事を得て、始めのころは収入より相手の役に立つことを優先したそうです。今はフリーのWebマーケター兼ディレクターとして続けている仕事があり、本人の申告では、サイトからの予約数が前の年の同じ月の1.76倍になった案件もあると話しています。月収は公務員のころに少し届かない程度で、単発の制作が入る月は増えると答えています。[6]

地域のつながりから仕事を得て、フリーで働いている例です。公務員の職種や年数、独立までの期間は書かれていません。予約数や収入は本人の申告です。スクールの運営会社のインタビューです。2025年2月の投稿です。

6人の体験から編集部が整理した、公務員からWeb・ITに移るときに見えた点

6人の記事を並べると、次の3つの点が見えてきます。これは編集部が整理したもので、6人全員がすべてに触れているわけではありません。

  • 辞めた理由は、評価や働き方への違和感が多かった:事例1は資格が評価されないことと一人での障害対応、事例2は人間関係が評価に影響すること、事例3は行政の非効率や裁量の小ささを挙げています。[1][2][3]
  • 学び方は人によって違った:事例2・3・5・6はスクールや講座を使い、事例4はスクールを使わず資格を取りました。事例3は独学で止まったあとにスクールに切り替えています。[2][3][4][5][6]
  • 収入が下がったと書いた人もいた:事例4は年収が大きく下がり、事例6は月収が公務員のころに少し届かない程度だと答えています。事例5は退職から働き始めるまで1年半以上ありました。[4][5][6]

教員から移った人の体験は教員からWeb・ITの仕事に転職した6人の体験は?働き方の変化・収入・合わなかったことを整理、事務職から移った人の体験は事務職からWebデザイナーになった4人の体験は?学び方・応募の数・内定までを整理でまとめています。

公務員からWeb・ITに移る前に確かめたい5つのこと

ここからは、6人の体験を参考に編集部が整理した確認項目です。6人がこの5つを勧めているわけではありません。

公務員からWeb・ITに移る前に確かめたい5つのこと:辞めたい理由、目指す職種と働き方、学び方、収入の変化、退職の時期と生活費
5つの確認のまとめ(編集部作成)
  1. 辞めたい理由:評価、人間関係、働き方など、何を変えたいのかを書き出し、移った先で変わるかを考えます。
  2. 目指す職種と働き方:エンジニア、デザイナー、マーケターなどの職種と、自社開発、SES、派遣、フリーなどの働き方の違いを確かめます。
  3. 学び方:独学、スクール、資格のどれを使うかを決めます。独学で止まったときにどうするかも考えておきます。
  4. 収入の変化:未経験で応募できる求人の年収と、今の収入を比べておきます。
  5. 退職の時期と生活費:働きながら学ぶか、辞めてから学ぶかを決め、仕事が決まるまでの生活費を見積もります。

20代・30代の転職の体験は20代未経験からWeb系の仕事に就ける?、30代未経験からWeb系の仕事に就ける?で紹介しています。

よくある質問

公務員からWeb・ITの仕事に移った人は、なぜ辞めましたか?

今回の6人では、専門性を伸ばしにくい、資格が評価されない、一人での障害対応(事例1)、人間関係が仕事の配分や評価に影響する(事例2)、行政の非効率や裁量の小ささ(事例3)、異動で忙しくなり学習との両立が難しくなったこと(事例5)などを挙げていました。事例4・6については、辞めた理由として確認できたものはありません(事例6は、講座を受けた理由として、ものづくりへの関心と収入の面を挙げています)。

公務員からWeb・ITに移ると、収入は下がりますか?

事例4は年収が公務員のころより大きく下がったと書き、事例6は月収が公務員のころに少し届かない程度だと答えています。ほかの4人は収入の変化を書いていません。本人の申告で、一般的な目安にはなりません。

どのくらい応募しましたか?

事例2は10社に応募して8社が書類を通過し、事例4は60〜80社ほどに応募していました。事例3は2社から内定を得たと書いていますが、応募の数は書いていません。

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