「未経験からWebデザイナーに転職できるのか」。検索すると短期間で内定した話も見つかりますが、その人が何を学び、何社と接点を持ち、入社後に何をしているかまで見なければ、自分の進路には当てはめられません。そこで、転職の経緯を本人が話している別々の3人のYouTube動画を確認しました。
結論は、内定までの道も、入社後の仕事も一様ではないということです。制作会社に入った人、職業訓練を経た人、事業会社の社内デザイナーになった人では準備が違います。収入が下がったと話す人も、上がったと話す人もいます。この3件は成功率や平均年収を示す統計ではありません。
- 本人3人が明かした応募・選考の経緯
- ポートフォリオや前職経験をどう示したか
- 制作会社と社内デザイナーで異なる、入社後の仕事
- 転職を決める前に確認したい条件
未経験からのWebデザイナー転職、3人の経緯を比較
| 本人・転職先 | 学習・選考で本人がしたこと | 確認できた結果と入社後 |
|---|---|---|
| yukaさん/地元の制作会社 | ポートフォリオ制作中から求人を探す。書類選考で落ちた後、自己分析と応募書類を見直す | 約1か月半で3社に応募し1社から内定。サイト制作やバナーなどを担当。収入は前職より下がったと発言 |
| Sakiさん/会社員Webデザイナーを経て独立 | 職業訓練校修了後、Wantedly・求人サイト・紹介会社を通じて計16社と接点を持つ | 本人の内訳では採用2社。不採用・返信なし7社、途中辞退等5社、選考途中で終了2社 |
| なみさん/IT企業の社内デザイナー | 別のスクールでも学習後、LPやポートフォリオの制作を進める。本人によると約100社へ応募 | 面接は約5社、内定1社。LP制作に加え、入社後にInstagram運用も担当 |
数値はいずれも本人の自己申告です。Sakiさんの「16社」にはWantedlyでの接触や会社説明だけで終わったケースも含まれます。なみさんの「約100社」は本人の概数で、同じ定義の正式応募数として比較できません。2人は同じスクール運営者の卒業生紹介です。yukaさんの前職の具体的な職種、Sakiさんの前職の職種、3人の正確な給与額は確認できませんでした。

事例1:地元の制作会社に入ったyukaさん
yukaさんは、未経験でいきなりフリーランスになることに不安を感じ、まず制作会社で経験を積む道を選びました。ポートフォリオを作る段階から求人を探し始め、地元の制作会社の求人をハローワークで見つけます。転職活動は約1か月半、応募したのは3社。1社は書類選考で落ち、1社は条件が合わず辞退し、地元の1社から内定を得たと話しています。[1]
本人は最初の不採用を受け、自己分析や履歴書を見直しました。前職の経験から、Webデザイナーとして将来何をしたいかまで説明できるようにしたそうです。「未経験歓迎」の表示だけを頼りにするのでなく、制作物と応募書類の両方を整えた点が参考になります。ただし、この一件だけで、その見直しが内定の原因だったと断定はできません。
入社後はバナーやLINEのリッチメニューに加え、顧客向けサイトの要件整理、ワイヤーフレーム、デザイン、WordPressでの実装も任されたと話しています。デザイン画面だけを作る仕事ではありません。一方、地元勤務で通勤と残業が減ったものの、収入は前職の大手企業より下がったと本人は述べています。金額や、その後の昇給は不明です。[1]
事例2:職業訓練から就職したSakiさん
Sakiさんは、20代半ばに職業訓練校で学び、Webデザイナーとして就職した当時の活動を本人のチャンネルで振り返っています。訓練校修了後、Wantedly経由で10社、求人サイト経由で3社、紹介会社経由で3社、計16社に接点を持ちました。そのうち本人の整理では、採用2社、不採用または返信なし7社、会社説明のみ・途中辞退5社、選考中に活動を終えたものが2社です。[2]
ここでの「16社」はすべて同じ選考段階を経た正式応募ではありません。本人もWantedlyの「まずは話を聞きたい」は通常の応募と同じといえるか分からないと説明しています。したがって、16分の2を内定率として使うことはできません。確認できるのは、複数の入口を試し、説明を聞いてから進まなかった会社もあったという活動の実態です。
面接ではポートフォリオを見ながら質問される時間があったと本人は話します。後から振り返り、職種を変えたい理由だけでなく、制作を通じて応募先にどう役立てるかを、もっと具体的に伝えられたと考えていました。2020年の投稿なので、求人サイトの使われ方や採用状況を2026年の市場へそのまま移すことはできません。[2]
事例3:保険会社の事務から社内デザイナーになったなみさん
なみさんは保険会社で一般事務をし、電話対応や書類作成を担当していました。本人によると、以前に別のスクールでもデザインツールとバナー制作を学んでいます。ただ、その時はLPとポートフォリオを完成できず、仕事にはつながりませんでした。その後も学習を続け、2025年6月にIT企業のインハウスデザイナーとして内定を得ています。[3]
応募先は本人の概数で約100社、面接は約5社、内定は1社。多くの企業から返事がなかったとも話しています。ポートフォリオでどんな人か伝わるようにし、面接の準備を重ねたそうです。入社後に本人が聞いた評価は、デザインの技能だけでなく、素直さや真面目に取り組みそうな姿勢でした。ただし、顔写真を載せれば採用に有利になるという一般則は、この発言からは導けません。作品と考え方、担当できる仕事をどう伝えるかが本題です。[3]
入社後はLP制作に加えて、当初想定していなかった会社のInstagram運用も担当しています。本人によればほぼリモート勤務で、出社は月に0〜1回程度。月給は前職より約5万円増えたと話しますが、給与明細などの裏付けはなく、他の人の転職後の収入を予測する数字にはなりません。[3]
3人から見える、転職準備の分かれ目
今回の事例でポートフォリオは単なる作品一覧ではありません。yukaさんは制作段階から求人を見て、Sakiさんは面接で作品について質問され、なみさんは前の学習で作品集まで作れなかったことを障壁として話しています。応募する前に、何を作ったか、誰に何を伝える目的で作ったか、自分が担当した工程はどこかを説明できるようにしておくと、制作物を会話の材料にできます。必要な作品数やツールは応募先の募集要項で確かめてください。
選考の進み方にも差があります。3社と接点を持って決めた人も、本人申告で約100社へ応募した人もいました。経験、作品、地域、募集時期、希望条件が揃っていないため、この差から「何社応募すれば内定する」とは計算できません。返信数や面接数を記録し、応募先と作品の相性を見直す方が実用的です。
入社後の仕事は職種名だけでは決まりません。制作会社のyukaさんは顧客との要件整理から実装まで、事業会社のなみさんはLPに加えてSNS運用を担いました。デザインだけしたいのか、サイト実装や運用にも関わりたいのかを、応募前に確認する必要があります。希望する業務と求人の実務が離れているなら、転職先の選び方を変えましょう。
求人に応募する前の5つの確認事項
- 実務の範囲:バナー、LP、Webサイト、コーディング、更新、SNS運用のどれを担当するのか。求人票と面接で確認する。
- ポートフォリオの説明:完成画面だけでなく、目的、想定する利用者、担当工程、検討した案を短く説明できるか。
- 前職との接点:顧客対応、情報整理、社内調整などの経験を、応募先の仕事にどう使えるか。推測で「即戦力」とは言わない。
- 条件の優先順位:給与、勤務地・出社頻度、残業、教育体制、実務経験を積める範囲。収入と働き方が両方改善するとは限らない。
- 学習費用と生活費:独学、職業訓練、スクールなどの方法を比べ、退職する場合は生活費の見通しも確認する。
最初に2〜3件の求人票を読み、求められる制作物と実務を抜き出してから学習計画を立てると、職種名だけを追うより具体的に判断できます。今回の3人から、特定のスクールの効果や転職成功率は比較できません。
30代で未経験からWeb系の仕事を目指す場合の、年齢や生活条件の不安については30代未経験からWeb系の仕事に就ける?本人4人の体験から現実と準備を整理でまとめています。
よくある質問
未経験でもWebデザイナーに転職できますか?
今回の3人は実際に転職したと本人が語っています。ただし、採用されなかった人を含む調査ではなく、誰でも転職できるという根拠にはなりません。希望する求人の必須条件と、自分の制作物・経験の差を確認してください。
ポートフォリオがあれば採用されますか?
作品を見せるだけで採用が決まるとは言えません。今回の事例では、作品を説明する面接、前職経験の伝え方、人柄や仕事への姿勢も話題になりました。応募先の実務に近い制作例と、制作理由の説明を準備しましょう。
転職すると給与やリモート勤務は改善しますか?
本人談では、収入が下がった人と上がった人がいます。リモート勤務の可否も転職先次第です。求人票や面接で、給与の内訳、出社頻度、研修期間中の条件まで確認してください。
学習は独学とスクールのどちらがよいですか?
今回の3人は学習経路が異なります。自分が作りたい成果物、必要な添削、使える時間、総費用を基準に比べてください。受講と内定の因果関係は、公開された3件からは判断できません。
営業からWeb系の職種変更を考えるなら、営業からWebマーケティングへ進んだ人の体験談も参考にしてください。まず副業で制作を試したい場合は、動画編集の初案件に至るまでの3人の経験も、時間と報酬の見方を考える材料になります。
調査方法と参照した本人の投稿
2026年9月22日、YouTube上の別々の3人の動画について、投稿ページの説明欄と時刻付き自動文字起こしを直接確認しました。自動字幕には誤変換があるため、読み取れない部分を事実として採用していません。2件はデイトラ運営チャンネルが選んで公開した卒業生インタビューで、成果が出た例に偏る可能性があります。残る1件は本人チャンネルの2020年の体験です。採用や給与の証憑、学習者全体の転職率は確認していません。本人が明言していない年齢・職業・金額を補っていません。
- [1] yukaさんの制作会社転職インタビュー(YouTube)。2024年6月12日公開。08:40〜09:31、11:29〜13:32、15:03〜18:32の本人発言を確認。
- [2] Sakiさんの転職活動の本人投稿(YouTube)。2020年7月26日公開。01:36〜02:09、05:04〜05:31、07:45〜08:26、10:31〜11:02を確認。
- [3] なみさんの社内デザイナー転職インタビュー(YouTube)。2025年10月28日公開。01:24〜01:46、03:38〜04:35、07:00〜09:34、10:21〜11:38、15:34〜16:02を確認。

